士業全般

なぜ税理士は無償業務独占資格なのか?税理士の使命とともに考える

この記事では、なぜ税理士は『無償業務独占資格』なのかについて、税理士の使命とともに考えまとめています。

税理士業界に携わる皆さん、ぜひこの記事を読んで、税理士業の重み使命・責任について、改めて感じてみてください。

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無償業務独占資格

税理士資格は『無償業務独占資格』です。

『無償業務独占資格』とはなんなのか、簡単に解説します。

✔ 無償業務独占資格とは?

『業務独占資格』とは国家資格の分類の1つで、特定の業務に対してその資格・免許・免許状を有する者でなければ業務をおこなうことが禁じられている資格のことです。

さらに『無償業務独占資格』とは、”有償・無償”どちらであっても有資格者でないと業務ができない資格のことです。

(例)医師・薬剤師・税理士・司法書士・土地家屋調査士・フグ調理師など

>>業務独占資格とは?資格の価値・需要は?本当に一生職に困ることはないのか?

税理士業務が『無償業務独占』であることは、税理士法第52条に定められています。

【税理士法 第52条】税理士業務の制限

税理士又は税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理士業務を行ってはならない。

ここでいう「税理士業務」とは、税理士法第2条において、他人の求めに応じ、租税に関して次に掲げる事務を行うことを業とすることと規定されています。(参考:税理士法

税理士業務

  • 税務代理
  • 税務書類の作成
  • 税務相談

(詳細:国税庁HP「非税理士により行うことが禁止される税理士業務」

なお、税理士資格のない者が税理士業をおこなった場合は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる場合があります(税理士法第59条第1項第4号)。

税理士の仕事は、報酬の有無に関わらず無資格者がおこなってはいけないのです。ちょっと税金に詳しいからといって、知り合いの税務相談に乗ったり友人の確定申告を代わりにしたりしてはいけないのです。

私も過去に証券会社で働いていましたが、税金について質問されても「個別の税の相談にはお答えできません」って回答するように会社から言われていました。税理士法違反で処罰される可能性があるからなんですね。

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税理士の使命

続いて、税理士の使命についてです。

【税理士法 第1条】税理士の使命

税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。

税理士は『独立した公正な立場』です。独立公正な立場で、納税義務の適正な実現を図ることを使命としているのです。

納税義務者側でもなく、国側でもないのです。

そして『申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ』ます。

『申告納税制度』とは

納税者自身が所得金額や税額を計算、税務署へ申告(確定申告)を行い、確定した税額を自ら納付する方法です。

一般的に国税(所得税、法人税、相続税など)は『申告納税制度』です。

申告納税制度では、納税者自身で申告・納付が必要な制度です。しかし充分な知識や時間がないために正しく申告・納付ができない納税義務者もいます。

そういった納税義務者は『税理士』に相談・依頼します。国家資格をもった税理士を信頼し、依頼するのです。

申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえるのです。

そして『租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図るのです。

正しく納税されるようにするのです。

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他士業と考える

例えば同じ士業でも、弁護士・弁理士・公認会計士・行政書士・社会保険労務士・不動産鑑定士は『有償業務独占資格』で、税理士・司法書士・土地家屋調査士は『無償業務独占資格』です。

弁護士業務と税理士業務

弁護士は『有償業務独占資格』です。有償で業務をおこなうには資格が必要ですが、無償であれば無資格でも良いのです。

大学によっては、法律研究会(法律研究サークル)や税務会計研究会(税務会計サークル)などがあります。法律や税務会計について勉強しつつ、資格取得を目指す人もいるサークルです。法律研究サークルのメンバーが無償で法律相談を受けても問題ありませんが、税務会計サークルのメンバーが税務相談を受けると、有償無償問わず税理士法違反になるのです。

税理士が『無償業務独占資格』だからです。

無償であっても税務相談を受けてはいけないのです。

社労士業務と税理士業務

社会保険労務士もまた『有償業務独占資格』です。有償で業務をおこなうには資格が必要ですが、無償であれば無資格でも良いのです。

社労士と税理士は関連した業務が多くあり度々問題が起こります。例えば従業員の給与計算に関連した業務です。「給与計算(労働・社会保険料の計算)は税理士・社労士どちらも可」ですが、「労働・社会保険料の届け出は社労士しかできない」ですし、「年末調整の代行は税理士しかできない」のです。

社労士が、給与計算のついでに年末調整を行うと、税理士法違反になるのです。

また税理士事務所の中には、税務顧問の付随業務として様々な手続き代行を行うところもありますが、社労士の独占業務を”有償で”税理士がおこなってはいけないのです。(”無償”であればOKです)

税理士事務所と社労士事務所が併設・提携しているのはそういうことです。

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なぜ税理士は『無償業務独占資格』なのか?

では本題です。なぜ税理士は『無償業務独占資格』なのでしょうか?

税理士は税金に関する専門家です。

税金とは

年金・医療などの社会保障・福祉や、水道、道路などの社会資本整備、教育、警察、防衛といった公的サービスを運営するための費用を賄うものです。みんなが互いに支え合い、共によりよい社会を作っていくため、この費用を広く公平に分かち合うことが必要です。

(参考元:財務省HP

ここでこの記事の冒頭で確認した「税理士の使命」を思い出してください。

税理士は独立した公正な立場で、納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。

つながりましたね。

納税義務者によって正しく納められた税金で社会が作られているのです。

そしてその実現を図っているのが税理士なのです。

税金を正しく納めてもらうため、国を守るため、社会を作り国民の生活を守るため、そのために税理士は存在しているのです。正しい知識を持ち合わせて、難関試験に合格し国家資格を得たものだけが『税理士』と名乗り『税理士業』をおこなえるのです。

無償だとか有償だとかは関係ないのです。正しく納税し、国や社会・国民を守るためには、国が認めた国家資格である『税理士資格』を持ち合わせている者しかダメなのです。

報酬を受け取るのはお客さんからですが、国から国家資格を得て、その国家資格(税理士資格)から、使命を受けています。国とお客さん、どちら側でもなく公正な立場でないといけないのです。

>>税理士はすごい?社会的地位は?税理士資格の価値は?

最後に

『無償業務独占資格』は、国から認められた資格であり特権です。税理士資格は誇りある資格です。

これからも『無償業務独占資格』を背負って、税理士の使命をまっとうしてください。よろしくお願いします。

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