税金・確定申告

開業届を出す5つのメリット・3つのデメリット|開業届の提出は義務である

この記事では、フリーランスとして働いている人は開業届を出さないといけないのか?開業届を出すメリットデメリットはなんなのか?についてまとめています。

開業届について調べていると、「開業届を出すと損する」なんて記事をよく見かけますよね。

本当なのでしょうか?

フリーランスと個人事業主の違いが気になる方は、こちらの記事もどうぞ。↓

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開業届の提出は義務である

開業届を出すべきかどうか議論する以前に、実は開業届の提出は所得税法第229条で義務付けられています。

居住者又は非居住者は、国内において新たに不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を開始し、又は当該事業に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものを設け、若しくはこれらを移転し若しくは廃止した場合には、財務省令で定めるところにより、その旨その他必要な事項を記載した届出書を、その事実があつた日から一月以内に、税務署長に提出しなければならない。

引用元:所得税法 第229条「開業等の届出」

「事業を開始した日から1ヶ月以内に、開業届を提出しなければならない」のです。

開業届の正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」です。

しかし、この「開業した日」というのは実に曖昧です。準備を始めた日なのか、対外的に何かを始めた日なのか、売上が発生した日なのか…。

例えばイラストレーター・ブロガーとして起業しようと思い、日々イラストやブログを書いていたとします。いつまでも売上が発生しなければそれは事業と言えるのか?準備期間や趣味ではないのか?など、『事業』を『開業した日』の定義は非常に難しいです。

開業届の提出には罰則がない

『事業』と『開業した日』の定義が難しいうえに、この規定には罰則がありません。

そのため「これは事業なのか?」「事業を開始したといえるのか?」「開業届を出すべきなのか?」と迷っているうちに時間が過ぎてしまっていたり、「開業届を出すメリットデメリットは?」などを考える人が多く、実際「事業を開始している」のに開業届を提出していない人がいます。

しかし、繰り返しますが開業届の提出は義務です。

提出が遅れたからといって罰則があるわけではないので、遅れてしまっても提出しましょう。

開業届を提出するメリットはたくさんあります。

この後のメリットデメリットで詳しく解説しています。

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開業届を提出するメリット

開業届を出すことによって社会的に認知される・存在を認められるようになります。

開業届を出して社会的に認知されていなければ、なにかあった時に実際に事業をしているということを証明できない(証明書を出せない)場合があります。

証明書を出せないことによるデメリットには注意が必要です。

初めに、開業届を提出するメリットをまとめていきます。

① 青色申告できる

開業届を提出する最大のメリットは『青色申告できること』です。

開業届を提出すると「青色申告承認申請書」も提出することができます。これによって『青色申告』が可能になります。

青色申告には、税制上さまざまな特典があります。

(参考:国税庁「青色申告制度」

青色申告特別控除が受けられる

条件をクリアしていれば、所得金額から最大65万円を控除することができます。

所得に応じて「所得税・住民税」が課せられますが、その所得を最大65万円減らすことができるのです。これによって、支払う税金が安くなる場合があります。

➡国税庁「青色申告特別控除」

赤字の繰越しと繰戻しができる

損失(赤字)がある場合、翌年以後3年間にわたって繰越しし、各年分の所得金額から控除できます。

また、前年も青色申告している場合は純損失の繰越しに代えて、その損失額を生じた年の前年に繰り戻し前年分の所得税の還付を受けることもできます。

家族への支払い給与を「経費」にできる(青色事業専従者給与)

青色申告者と生計を一にしている配偶者やその他の親族のうち、年齢が15歳以上で、その青色申告者の事業に専ら従事している人に支払った給与は、事前に提出された届出書(青色事業専従者給与に関する届出書)に記載された金額の範囲内で専従者の労務の対価として適正な金額であれば、必要経費に算入することができます。

➡国税庁「青色事業専従者給与と事業専従者控除」

貸倒引当金の一部を「経費」にできる

事業所得を生ずべき事業を営む青色申告者で、その事業の遂行上生じた売掛金、貸付金などの貸金の貸倒れによる損失の見込額を、一定の割合で必要経費に入れることができます。

② 事業用(屋号付き)口座を開設できる

開業届を出していれば、事業用(屋号付き)銀行口座を開設することができます。

開業して数年たっている場合は、開業届でなく確定申告書などでも良い場合もあります。

事業用(屋号付き)銀行口座をもつメリットは以下の通りです。

顧客からの信頼アップ

顧客にとって、振込先が個人名義であるよりも「屋号付き銀行口座」の方が信頼度が増します。

「事業としてやっているんだな」と信頼できるのです。(開業届を出している、銀行がその口座開設を認めている、という点を無意識に信頼するのかもしれません)

また、ネットショップやホームページでお店の名前などを表記している場合、振込先が個人名口座だと不安になります。屋号付き銀行口座にお店の名前が載っていると安心します。

確定申告のとき便利

確定申告の際、事業における「収入・経費」を申告します。

事業用口座を開設すると、すべて事業用の入出金なので、わざわざ事業用であるかどうかを分別する必要がありません。銀行口座と申告ソフトを連携させて入力を自動化させる場合も便利です。

確定申告の手間を省き正しい申告をするためには、「事業用口座を開設すべきである」と言えるでしょう。

また、万が一税務調査が入る際には、銀行口座を提示しなければいけません。事業用口座があればその口座だけ提出すればよいので管理がしやすいです。プライベート口座を見られる心配もありません。

家計も明確になる

確定申告の際に便利ということに加えて、事業用とプライベート用を分けると家計にとってもプラスです。

「事業用口座から、毎月末に〇〇万円、プライベート口座に振り込む」などすることによって、会社員のように毎月決まった金額で生活することを目指すことができます。

プライベートの家計でいくら使ったかをわかりやすくするためにも、「事業用とプライベート口座を分けるべき」と言えるでしょう。

屋号付きでなくても、事業用とプライベート用を分ける方が良さそうですね。

③ 就業の証明になる

開業届を提出していると、就業の証明になります。

開業して数年たっている場合は、確定申告書などでも良い場合もありますが、開業して3年未満(目安)の場合は開業届の提出を求められる場合が多いです。

就業の証明が必要になるのはこんな場面です。

  1. 保育園の入園申込時
  2. 学童への入所申込時
  3. 幼稚園・一部の私立学校への入園や入学申請時
  4. 住宅ローンなどローンを組むとき
  5. クレジットカードを作るとき
  6. 家を借りるとき

このような場合、会社員など企業務めの場合は「勤務証明書」、個人事業主の場合は「開業届」の提出を求められる場合があります。事業としておこなっているという社会的証明になります。一般的に「仕事」と認められるのです。

これらの時、証明書(開業届)を提出できないことは大きなデメリットでしょう。

④ 補助金や助成金の申請ができる

事業主向けに、様々な補助金や助成金の制度があります。補助金や助成金を受け取るためには「開業届」を提出していることが条件とされる場合があります。

開業届を提出していないがために受け取れない、といったケースを避けるためにも、ルール通り開業届は提出しておくべきと言えるでしょう。

➡経済産業省ミラサポplus「中小企業向け補助金・総合支援サイト」

⑤ 小規模企業共済に入れる

小規模企業共済とは、廃業や退職時の生活資金などのために積み立てておく「退職金制度」です。掛金が全額所得控除できるなどの税制メリットに加え、事業資金の借入れもできるため、お得で安心です。

名前に「企業」という付いていますが、個人事業主も加入できます。

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開業届を提出するデメリット

続いて、開業届を提出するデメリットを解説します。

念のため繰り返しますが…

開業届の提出は法律で義務付けられています。

① 失業保険が受けられなくなる可能性がある

退職した会社で雇用保険に加入していた場合、一定期間「基本手当(失業保険)」を給付できる制度があります。

基本手当(失業保険)の給付を受けるには、「本人に再就職する意思と能力があること」が条件です。そのため開業届を提出すると、再就職の意思がないとみなされ給付を受けられなくなります。

退職した会社が雇用保険に加入していなかったり、公務員は雇用保険の適用除外であったりと、そもそも給付の対象ではない場合もあります。

② 扶養から外れてしまう可能性がある

扶養内の方が開業届を出す場合は、注意が必要です。開業届を提出することによって扶養から外れてしまう場合があります。

『扶養内』というのは「税法上の扶養」と「健康保険上の扶養」に分かれています。

税法上の扶養

税法上の扶養は、開業届の提出の有無は関係ありません。

納税者の配偶者・子供などの年間合計所得金額が48万円以下(給与収入なら年間103万円以下)の場合には、納税者の扶養に入れます。扶養控除や配偶者控除など、納税者の所得から一定の金額を控除することが可能な制度です。扶養から外れると、所得税や住民税を自分で納めなければなりません。

開業届の提出に関わらず、所得によって判断されるのです。

健康保険上の扶養

健康保険上の扶養は、開業届の提出の有無によって判断される場合があります。

「健康保険上の扶養」とは、扶養される者は保険料を払わずに扶養者の健康保険に加入できる制度です。健康保険上の扶養についてのルールは、扶養者が加入しているそれぞれの健康保険組合などが決めています

開業届を提出済の「個人事業主は扶養に入れない」と決めている場合もあれば、「収入が〇〇を超えたら扶養から外れる」などの基準を設けている場合もあります。

気になる方は、それぞれの健康保険組合に確認すると良いでしょう。

③ 青色申告を選ぶと手間がかかる

開業届を提出し青色申告をする場合は、複式簿記による帳簿付けが必要です。(簿記には単式簿記と複式簿記の2種類あります)

青色申告するためには、以下の2つが必要です。

  1. 事前に「青色申告承認申請書」を提出
  2. 貸借対照表と損益計算書を添付して確定申告書を提出

単式簿記では貸借対照表と損益計算書は作成されないため複式簿記が必要になります。

(※ただし10万円控除で良いのであれば「単式簿記」でもOK)

複式簿記の帳簿付けは少々複雑です。

最近では、自動で会計してくれる「クラウド会計ソフト」がたくさん存在しています。相当複雑でない限り、会計ソフトを活用すればそれほど心配はいらないでしょう。

「確定申告・会計ソフト」3選

◆ 初心者向け。ユーザー数No.1!スマホで簡単:『freee(フリー)』
◆ 自動化でラクラク:『マネーフォアード』
◆ 2人に1人が使う:『弥生会計シリーズ(青色申告/白色申告)』

と言いつつ、簿記・会計の知識は大切です。事業を始めるならば、同時に勉強も進めていく方が良いでしょう。

開業届を出す方法

開業届を出す方法には以下の方法があります。

  1. 税務署の窓口に開業届を持参
  2. 税務署宛に郵送
  3. e-Taxでネット申請

おすすめは、freeeなどのソフトで開業届を作成し提出する方法です。初心者でも簡単、無料でできます。

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